動物別症例集
デグーの尾の腫瘍(脊索腫)
After
尻尾ごと腫瘍を切除しました。
デグーの腫瘍については、情報が非常に少ないのが現状です。
デグーは他の動物に比べて腫瘍は少ないとも言われていますが、歯牙腫、線維腫、線維肉腫、血管腫、肉腫、リンパ腫などの報告があります。
このデグーさんには、尾の付け根辺りに「脊索腫」と呼ばれる腫瘍ができていました。
脊索腫とは、通常胎児期のみに認められる脊索という機関が出生後も残存し、腫瘍化したものです。
フェレットによく認められるため、フェレットの飼い主さんはご存知の方がいるかもしれません。
フェレットでは、通常尾の先端に塊状の腫瘍が形成されます(まれに尾以外の部分にもできる場合もあります)。
悪性度は低い腫瘍に分類されますが、どんどん大きくなっていくこと、ごくまれに転移があるとの報告があることから、外科切除が推奨される腫瘍です。腫瘍の完全切除が出来れば完治も見込めます。
ただし、デグーの脊索腫については文献による報告がなく、挙動や悪性度などは正確にはわかっていません。
※本症例は、病理専門医の近藤広孝先生執筆の元、海外の学術論文に掲載されました。
Kondo, H., Hara, K., Sukegawa, A., & Shibuya, H. (2018). Chordoma of the Tail in a Degu (Octodon Degus). Journal of Exotic Pet Medicine, 27(4), 1–4. https://doi.org/10.1053/j.jepm.2017.10.025