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アホロートルの転覆病

アホロートル(メキシコサラマンダー)は別目名ウーパールーパーの名前で多くの方に親しまれている動物です。幼い顔が可愛いこの動物はメキシコ原産の有尾両生類の仲間です。ネオテニーという特殊な形態をもつように飼育されたメキシコサラマンダーをアホロートルと呼びます。アホロートルにはよくある病気がいくつかありますが、その中に転覆病という病気があります。 
今回はそんなアホロートルの転覆病について獣医師が解説します。 
 
1:日本でのアホロートル 
  日本ではアホロートルよりも「ウーパールーパー」の名前で親しまれている 有尾両生類です。両生類は有尾目と無尾目、無足目に分かれており、サンショウウオなどの長い尾を持ち、短い四肢があるものを有尾目に分類します。
 アホロートルはメキシコサンショウウオとも呼ばれ、日本では幼形成熟個体を特にウーパールーパーという名称で呼ばれます。過去にCMにも出演し、その愛くるしい見た目から一斉を風靡した過去を持つこの生物ですが、日本では野生のウーパールーパーは存在しません。原生地であるメキシコでは絶滅の危機に瀕しています。
 
2:アホロートルの転覆病
 アホロートルの転覆病は比較的良く遭遇する病気です。体の浮力調整がうまくいかず、どちらか片側に傾いてしまう、又はバランスを崩して体が上下逆さまになってしまう病気です。原因は肺穿孔、腸穿孔、体腔内腫瘍などが挙げられます。
 原因に関しては不明な点が多いですが、以前の報告で肺の感染症により肺が穿孔してしまい、そこから空気が漏れてしまうことにより体の浮力を保つ肺が機能しなくなったために体が浮いてしまうそうです。当院でも過去に体腔内腫瘍により体が傾いてしまう子に遭遇したことがあります。
 診断にはX線検査、超音波検査、CT検査などが必要となります。CT検査は大きな動物病院にしかないことが多いので、検査が出来るかどうかは事前に確認しましょう。当院ではエキゾチックアニマルのCT検査に関しては設備のある病院を紹介させて頂いております。
 
3:アホロートルの転覆病の治療法
 アホロートルの転覆病の治療は、原因により変わってきます。基本的には外科手術による原因の除去が必要になります。また、肺穿孔に関しては抗生物質による内科治療で治癒した例も報告があります。しかし、肺穿孔に関しては過去の報告では外科手術と内科治療を比較した際に、外科手術の治療期間の方が有意に短いとされています。外科手術には全身麻酔のリスクを乗り越える必要があります。
 
4:アホロートルの転覆病の予後
 アホロートルの転覆病の予後は今のところ良くないとされています。診断の難しさなどが原因だと思われます。これからの獣医療の発展により様々なことが解明されていくことを期待します。
 
5:まとめ
 ・ウーパールーパーは正式名称ではなく、アホロートルやメキシコサラマンダーが正式名称
 ・転覆病は比較的良くある病気
 ・原因は肺穿孔・腸穿孔・腫瘍があり、診断は画像検査を用いる
 ・治療は外科手術が基本
 ・予後は不良とされている


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