ブログ
犬猫の破折、咬耗
犬猫の破折、咬耗
破折とは、「歯が欠けている、割れている」ことを言います。
皆様、おうちのワンちゃんネコちゃんの歯が欠けているのは見た事がありますか?多くの人は見たこと無いかと思います。なぜならば、通常の生活を送っている限りは歯が欠けることは無いからです。
では、どういう時に破折してしまうのでしょうか。原因としては硬いものを噛んでしまうことです。良くあるのは、歯石予防として与えている牛や馬の蹄、硬いデンタルガム等、拾い食いの癖がある子では、石や木の枝等です。要するに、歯の強度を超えるものを齧った時に破折を起こしてしまうのです。デンタルガムや玩具等は、人の手で折り曲げられないものは不適ですので、予め選別してあげると良いでしょう。
破折した場合、症状が出ないことも多いため動物病院での健康診断時に見つかることも多々あります。一方で、破折した際に疼痛や出血等があり、ご飯を食べる時に痛がったり玩具で遊ばなくなったりと症状を示す子も存在します。破折した歯を放っておくと、根尖で感染を起こしてしまうことがあります。その場合は、温存できなくなるので抜歯が選択されます。
破折した際にポイントとなるのは、露髄しているか露髄していないか、露髄している場合は発症からどのくらい時間が経過しているのか、歯髄が生きているのか失活しているのかです。(露髄…歯髄が露出すること) このポイントにより治療方法が変わってきます。治療方法としては、歯冠修復、歯内治療、抜歯などを状態に合わせて選択します。
-
歯冠修復…少しニュアンスは違いますが、分かりやすく人の歯科で例えると「被せ物」。欠けている部分を修復材で元に戻します。
-
歯内治療…こちらは「詰め物」。歯髄を抜いて中に充填剤を入れます。充填剤を入れた後は歯冠修復と同様の方法で被せ物をします。状態によっては一部の歯髄を残して治療することも可能です。(断髄といいます)
-
抜歯…破折した歯が歯周病に侵されており、残せないと判断された場合は抜歯が選択されます。
断髄…露髄してから時間が短く、歯周病に罹患してない歯の歯髄を温存する治療法
発症してから1歳で72時間以内、1-3歳で48時間以内、3歳以上で24時間以内であれば歯髄を温存できる可能性があります。
ただ、治療後も硬いものを与え続けたり噛み癖が治らないような子は、修復した箇所が再度破損してしまうことがあります。そのため、硬いものを与えないことで予防できる子以外は再発のリスクが高いので抜歯をお勧めすることになります。
矢印で指した部分が破折し、露髄しています。赤い点が露髄です。
似たような病態に咬耗というものがあります。これは硬いものを噛み続けることによって、歯がすり減り削れていく病態です。ゲージの柵を噛み続けたり、フリスビーで遊び続けたことにより咬耗を起こした子もいます。こちらも嚙み癖が治らないことが多いので、基本的には露髄していなければ経過観察になります。もしも露髄していれば、こちらも同じく歯内治療もしくは抜歯を相談することになります。
もしも、おうちのワンちゃんネコちゃんの歯が欠けていたり、折れていた時は動物病院での診察をお勧め致します。