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動物別症例集

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フトアゴヒゲトカゲの全身性微胞子虫症

重度に痩せて脱水しています。血液検査で肝臓や腎臓の悪化が見られました。別の子では、口の中や足に腫瘍が形成されています。

微胞子虫とは、体の細胞内に寄生する微小な病原体で、分類学上は真菌(カビなど)に近い種類とされています。

フトアゴヒゲトカゲではこの微胞子虫が全身の臓器に感染し、死に至ることがあります。

微胞子虫の仲間でエンセファリトゾーンと呼ばれる種の仲間には、ウサギに対する病原性がよく知られています。
しかし爬虫類の微胞子虫症は、その病態や感染経路、人への感染性などの多くが良く分かっていません。

生前の診断法も確立はしていませんが、食欲低下、痩せてきた、元気がない、できものがあるなどの症状がみられた場合、この病気の可能性も考える必要があります。

治療は他の動物のデータに基づいた駆虫薬の投薬になりますが、爬虫類において、治療効果に対する報告はありません。
基本的に健康な個体には発症しにくい病気なので、生活環境を適切に整えて体調の悪化を避け、発症を予防することが重要になると思われます。

また、微胞子虫症は免疫低下状態の人への感染も報告があります。
適切な排泄物の処理や、触ったら手を洗う、過剰なスキンシップは避けるなど、基本的な衛生管理を徹底しましょう。

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